検索結果で選ばれる医院になるには?AIに正しく情報を伝える「構造化データ」の話
ホームページ制作において、訪問者に安心感を与えるデザインや使いやすいレイアウトは非常に重要です。
しかし、私たちメディココンサルティングでは、表に見えるデザインと同じくらい、ソースコードなどの目に見えない部分にもこだわりを持って制作をおこなっています。
それが今回お話しする「構造化データ(schema.org)」です。
少し専門的な言葉ですが、これからのAI時代の検索対策において、医療機関の信頼性を守るための重要な要素について解説します。
検索結果が変わった?ゼロクリック検索とAIの台頭
最近、Googleで何かを検索した際、検索結果の一番上にAIによる要約文が表示されたり、地図や店舗情報が詳しく表示されたりして、「ホームページをクリックしなくても知りたいことがわかった」という経験はありませんか?
これをWeb業界ではゼロクリック検索と呼びます。また、検索結果に生成AIが関連情報を要約・整理して表示する機能(AI Overviews)も導入が進んでいます。
これまでのSEO(検索エンジン対策)は、いかに検索順位を上げてクリックしてもらうかが指標のひとつでした。しかしこれからは、いかに検索結果の画面(やAIの回答)上で、正しい情報を表示させるかも重要になってきているのです。
検索エンジンとAIに「名刺」を渡す技術
では、どうすればGoogleやAIに、こちらの情報を正しく理解してもらえるのでしょうか?そこで登場するのが、ホームページのソースコードに記述する構造化データです。
もちろん、通常のHTMLコーディングでも、見出しタグや表組み(tableタグ)などを適切に使用することで、どこが重要でどこがデータなのかを伝えることは可能です。しかし、検索エンジンやAIは、それが単なる表データなのか、特定の医療機関の診療スケジュールなのかを、文脈だけで100%正確に判断できるとは限りません。
そこで、HTMLの中に「これは診療時間です」「これは院長名です」「これは内科クリニックです」という情報を、規格化された構造のデータとして埋め込みます。
構造化データにはさまざまな種類がありますが、今回お話しするのは、検索エンジンやAIに渡すためのデジタル名刺のような役割を持つ、医院情報の定義です。
私たちが実装している「MedicalBusiness」という規格
メディココンサルティングで制作する医療機関のホームページには、世界標準の規格である schema.org に基づき、医院の基本情報を詳細に記述しています。
単に「お店(LocalBusiness)」として登録するのではなく、より専門的な「医療事業(MedicalBusiness)」のカテゴリを使用します。実際に使用するのはさらにその中から、Googleが認識できるサブタイプ(例えば Dentist(歯科)や Pediatric(小児科)など)を選択し、その医院の実態に即した定義をおこない、連絡先や診療時間などの記述をしています。
これにより、Googleマップや検索結果において、診療時間などの情報がより正確に、リッチに表示されやすくなるのです。
医療機関だからこそ重要なYMYLとAIへの対策
なぜ、ここまで緻密な記述を行う必要があるのでしょうか?
それは、医療分野がGoogleの定義するYMYL(Your Money or Your Life)、つまり人々の健康や人生に重大な影響を与える領域だからです。
AIは非常に便利ですが、Web上の膨大なデータを学習する過程で、事実と異なる情報を生成してしまうリスクもゼロではありません。
特に医療情報において、AIによる情報の誤認や誤表示が起きることは、ユーザーにとって望ましくありません。
AIによる情報の誤りを防ぐためには、解釈をAI任せにするのではなく、「こちらが公式の正しい情報です」と構造化データを使って明確に提示しておくことが、今の技術でできる有効なアプローチです。
これは、Googleが重視する評価基準E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を高めることにも寄与します。
SEOとAI対策は対立しない
「これからはSEOではなくAIO(AI Optimization:AI最適化)だ」や「LLM(大規模言語モデル)への最適化が必要だ」といった言葉も聞かれますが、これらは対立する概念ではありません。
SEOもAI対策も、目指すところは同じく「ユーザーにとって価値のある、正確で質の高い情報を提供する」ことです。
これからのWeb戦略は、しっかりとしたSEOの基盤(構造化データなどの内部対策)を固めつつ、AIにも理解されやすい形式で情報を発信していくことが、結果として多くのユーザーに正しい情報を届けることに繋がります。
まとめ:見えない記述が「信頼」を作る
ホームページは、人間が見るための「ブラウザ上の表示」と、検索エンジンやAIが内容を理解するための「ソースコード」という二つの面があります。
そのソースコードの中で、情報の意味を機械に誤解なく伝える翻訳機の役割を果たしているのが構造化データです。
メディココンサルティングでは、画面上の使いやすさはもちろん、裏側の記述においても、日々進化するGoogleのアルゴリズムやAIの仕様に合わせて最適な実装をおこなっています。
こうした技術的な積み重ねが、ホームページの信頼性を支え、検索体験の向上に貢献すると考えています。